僕のところは音楽が一日中流れている。仕事として聴くのはパソコンを置いてある机の右側。机の下から流れるのは母ちゃん用のラジカセである。

　今も母ちゃんが大好きだった歌劇『伊江島ハンドー小』のカセットテープが部屋中から流れている。

　母ちゃんは若い頃からお芝居好き。16歳も上のお父さんより詳しかったそうだ。

　僕が洗濯、掃除、自分用の食事を作っている時など、寂しくさせてはいけないと思って、必ず『ハンドー小』を聴いてもらっていた。

　母ちゃんは役者に合わせて歌う。僕が「上手だね」と言うと、母ちゃんは「ハッハッハ」と笑って首を横に振る。聴き飽きる、歌い飽きることがないのだ。おかげでラジカセは3台。テープは巻き絡んでしまって4本も買い換えた。

　2005年8月25日の明方4時頃にも、この『ハンドー小』を歌っていた。

　僕が「ここはマンションだから、隣の方に怒られますよ」と言うと、母ちゃんは黙って寝たふり。30分もしないうちに、また大きな声で歌いはじめた。

　AM7:15には、いつもの通りパンツ替え。午後はコムスンの訪問入浴を受けて、水分補給をとる。その後は『ハンドー小』を聴きながら、お昼寝をしているつもりだと思っていた。母ちゃんは心の中で歌を歌い、パソコンの前に座っている僕を見つめながら、永遠の眠りについたのだろうか。

　あらためて聴いているけど実に素晴らしい。母ちゃんの夫・島袋光裕の良きライバル、真境名由康先生の作品。歴史に残る名歌劇だ。

　　今回の記事は2005/10/06/16:59に作成した。

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