オムツ替えなんて、慣れてしまえばどうってことない。母ちゃんが三年前に自宅で転倒。豊見城中央病院に入院したとき、オムツ替えに初トライした。

　ベッドの上からカーテンを閉め、女性看護師が「息子さんは出てください」と命令口調で言う。

　最初の頃は「すみません、よろしくお願いします」だったが、自分の母親の下を面倒かけて申し訳ない気持ちに変わった。

　2,3日後して、ベッドの横に置かれた汚れものを、病院専用の汚物入れに持っていった。それを機会に「僕も手伝います」と頼み込む。

　オムツ替えが少しづつ上手になっていく。看護師がカーテン内で「息子さんがオムツ替えをする人は始めてですよ」と言われた。

　始めては男だけと思ったのは大間違い。娘や嫁たちが付き添っている家族でも看護師任せだと言っていた。そうか、そうか、なるほどである。

　オムツ替えをせずに、親の心はつかむことはできない。子供の名前や顔までも忘れた、認知症の方なら解らないこともない。しかし、身体に触れることによって、介護される者は必ず心を開いてくれるはずだ。

　口も元気な頃に比べたら、思う気持ちを訴えるのが少なくなっている。孤独感がますますつのっている。月に2,3程度のお見舞い気分で顔を見せたり、話し掛けても、介護される者は心を開いてくれない。

　子供の頃の親子時代に戻って、昔話でもしたら、自分が子供の頃に見た笑顔も見せてくれる。誰にでも楽しかったことや、苦労したこともあるはずだ。

　介護される者には見栄や虚栄心がなくなっている。既成事実をつくるつもりで来るから、沈黙が多くなる。ときには「帰って！帰って！」と罵声を浴びせられる。

　本当に親を思う心がある人ならば、口と手は同時に動くはず。介護される者の1年は10年にも等しい。言葉だけのユイマール精神ならいらない。流行ってほしくない。

　今回の記事は2005/10/13/09:46に作成した。

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